一般的に、マンションを購入する際には頭金が必要です。しかし、頭金がいくら必要かは購入する物件、そしてどのように住宅ローンを返済していくかによって異なります。住宅ローンの返済は長期にわたるので、自分に合った計画を立て、適切な頭金を用意することが非常に重要です。
本記事では、頭金の概要や平均額、そして用意する際のポイントについて詳しく解説します。さらに、頭金を多く用意するメリット・デメリットとシミュレーションも紹介するので、資金計画を立てる際の参考にしてください。
マンション購入の頭金とは?


頭金とは、マンションの購入時に、物件価格の一部を現金で支払う初期費用のことです。頭金を用意することで住宅ローンの借入額を減らし、利息の負担を軽減できます。
つまり、頭金を多く支払うと、そのぶん毎月の返済額が抑えられ、総返済額も少なくなるということです。また、頭金の額が多いほど金融機関からの信用度が向上し、金利が低くなる可能性がある点も念頭に入れておきましょう。
しかし、頭金は必ずしも多めに用意しなくてはいけないわけではありません。金融機関による審査に通過すれば、頭金が少なくても住宅ローンの利用は可能です。中には、頭金がゼロでも借りられる住宅ローンもあります。
頭金と自己資金の違い
頭金と自己資金は、どちらもマンション購入に関わるお金です。しかし、頭金と自己資金は使用する範囲が異なります。頭金は物件価格の一部を現金で支払うもので、主にローン借入額を減らすために使われます。
自己資金は、頭金を含め購入者が自己負担で準備する総額のことです。頭金のほかにも、登記費用や仲介手数料、火災保険料といった諸費用が含まれます。
要するに、自己資金は頭金の範囲を超えて、広い支出に対応するための資金といえます。自己資金を適切に管理することで、予期せぬ出費や購入後の安定した生活を維持しやすくなるでしょう。
頭金と手付金の違い
頭金と手付金は、どちらもマンション購入時に支払うお金です。しかし、それぞれで目的と役割が異なり、頭金は住宅ローン借入額を減らすために使います。頭金は物件価格の一部として、現金で支払うのが一般的です。
手付金は、売買契約時に支払われる保証金のようなもので、購入意思の表明として重要な役割を果たします。手付金の目安は、契約金額の5〜10%程度です。
売買契約を締結する前のキャンセルや、売主の都合によって契約解除された場合は、手付金が返金されます。しかし、契約解除条件により返金されない場合もあるため、手付金の扱いには注意が必要です。
マンション購入の頭金は平均いくら?目安を紹介
一般的に、マンション購入時の頭金は、物件価格の10〜20%が相場とされています。フラット35利用者調査によると、平均購入額や頭金の額は以下のような傾向があります。
マンションの平均購入価格 | 頭金の平均額 | 頭金の割合 | |
---|---|---|---|
新築マンション | 5,245万円 | 1,188.7万円 | 22.70% |
中古マンション | 3,037万円 | 529.9万円 | 17.40% |
ただし、頭金は地域や物件の種類によっても差があるため、具体的な金額については、事前にシミュレーションするのがおすすめです。


マンション購入時の頭金は多い方がいい?


頭金が多いことで得られるメリット5つ
- 返済の負担を軽減できる
- 金利が低くなる可能性がある
- 返済期間を短縮できる
- 審査に通過しやすくなる
- 将来スムーズに売却できる
マンションの購入時に頭金を多く用意することには、上記の5つのメリットがあります。メリットについて、ひとつずつ詳しく確認していきましょう。
返済の負担を軽減できる
頭金を多めに支払うことで、住宅ローンの借入総額が減り、毎月の返済額も抑えられます。借入総額が減ることで利息も少なくなり、長期的に見ても返済負担が軽減されることは、大きなメリットです。
月々の返済負担が小さければ、生活費や教育費など、他の重要な支出とのバランスを保ちやすくなります。例えば、教育費が高額になる中学・高校の時期には、月々の返済負担が軽減されると、家計全体が安定します。
また、月々の返済負担が小さければ、予期せぬ収入減少時にも、柔軟に対応できる余地が生まれるでしょう。余裕を持った返済計画が立ててあれば、精神的な安心感も得られます。長期的な視野で見ると、頭金を多くすることは、家族の生活基盤を安定させる重要な手段といえます。
物件の金額 | 借入条件 | 頭金 | 総支払額 |
---|---|---|---|
3,000万円 | 借入期間:35年 金利タイプ:変動金利0.425% 返済方法:元利均等返済 | なし | 32,291,633円 |
10%(300万円) | 29,062,443円 | ||
20%(600万円) | 25,833,245円 |
金利が低くなる可能性がある
頭金を多く用意すると、住宅ローンの借入金利が低く設定される可能性があります。頭金を多く支払うことで、借入額が少なくなり、金融機関からの信用が高まるからです。
金利が低くなると、返済総額も大幅に減少し、長期的な節約効果が期待できます。また、借入額が少ないと、金融機関からの審査もスムーズに進むケースが多いです。
たとえば、住宅金融支援機構が提供する住宅ローン「フラット35」は、融資率によって金利が異なります。借入期間が21年〜35年以下の場合、融資率が9割以下であれば、借入金利は年1.860〜3.570%です。しかし、融資率が9割超になると、借入金利は年1.970〜3.680%と、0.11%高くなります。
頭金を多めに用意できそうであれば、このような金利優遇を受けられる住宅ローンを利用するのがおすすめです。
返済期間を短縮できる
頭金を多く支払うと、住宅ローンの借入額が少なくなるため、早い段階での全額返済が可能です。返済期間を短縮することで利息負担を減らし、総返済額を削減できます。
また、住宅ローンの早期完済は、将来的な資金計画に余裕が生まれ、より柔軟な選択肢が広がることもメリットです。例えば、返済期間が短くなることで、老後資金の積み立てを早期に開始できるようになります。加えて、早期完済は精神的な負担を軽減しますし、老後に収入が減った場合にも、住宅ローンの返済が終わっていれば安心です。
審査に通過しやすくなる
頭金を多く用意していると、金融機関からの信頼度が高まり、ローン審査に通過しやすくなります。なぜならば、借入額が減少することで、貸し倒れリスクが低いと判断されるからです。
審査がスムーズに進めば、本審査から契約、融資の実行までスムーズに進み、マンションの購入手続きも早く終えられます。
また、頭金の多さは家計の安定性を示す指標にもなるため、他の条件が多少不利でも、審査を通過しやすくなるでしょう。
将来スムーズに売却できる
もしも将来、マンションを売却することになったときも、頭金を多く支払っておけば手続きがスムーズに進められます。基本的に、住宅ローンの契約時には、金融機関がマイホームに抵当権を設定します。抵当権を解除するには、住宅ローンを完済する必要があるため、残債を踏まえて売却価格を設定しなくてはいけません。
しかし、将来的にマイホームがの不動産としての価値が下がり、希望額で売却できない可能性もあります。そんなときにも、残債が少なければ売却益で住宅ローンを完済しやすく、買い替えや住み替えがスムーズに行えるでしょう。


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マンション購入時に多くの頭金を用意するデメリット
頭金を多く支払うことで、手元にある資金が減少し、急な出費や生活資金に余裕がなくなるリスクが高まります。マンションの購入時には、引越しや新しい家具の用意などにも費用がかかるため、注意が必要です。
また、自己資金を多く使うことで、資産運用や投資の機会を逃してしまう可能性もあります。さらに、手元資金がないと、突発的な修繕費や医療費などの、予期せぬ出費に対応しづらくなるため、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。新生活の準備資金、毎月の生活費、急な出費が発生する可能性も踏まえ、無理がない範囲で頭金を用意しましょう。
マンション購入の頭金を決める際のポイント


マンション購入の頭金の決め方
- 住宅ローン控除を加味する
- 繰り上げ返済を見据えるリスト
マンション購入の頭金を決める際に考えたいポイントは、上記の2つです。詳しく説明していきます。
住宅ローン控除を加味する
住宅ローン控除は、年末における住宅ローンの残高に対し、所得税が0.7%控除される制度です。ただし、住宅ローン控除が適用されるには、借入期間などの条件を満たす必要があります。
借入期間は10年以上のケースが対象なので、借入額が少なく借入期間も短くなると、住宅ローン控除が適用されません。また、頭金を多く入れると借入残高も少なくなるため、住宅ローン控除の恩恵が減少してしまいます。そのため、住宅ローン控除を利用するならば、住宅ローンの残高が控除対象の上限を超えないように頭金を設定し、借入期間を調整しましょう。
繰り上げ返済を見据える
マンションの購入時に多額の頭金を用意せず、手元に資金を残すのもひとつの選択肢です。住宅ローンの借入後に繰り上げ返済することで、利息の支払い負担を軽減できます。繰り上げ返済で支払った分は元本に充てられるため、早く始めるほど返済総額を減らす効果が高まります。
特に、マンション購入後に、転職や出産など生活に大きな変化が生じる可能性がある場合は、資金を残しておくと安心です。ボーナスが入ったり収入が増えたり、余裕があるときに繰り上げ返済を検討するといいでしょう。
繰り上げ返済は、金融機関に申し込めばいつでも手続きできます。手続きの際には、金融機関だと手数料が発生し、オンラインの窓口だと無料のケースが多いです。
- 繰り上げ返済
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住宅ローンなどの借入金を予定より早く返済し、利息の負担を減らすこと
【物件価格別】マンション購入の頭金のシミュレーション
以下の表は、物件価格別の頭金の目安です。借入期間は35年、変動金利0.425%と仮定し、元利均等返済でシミュレーションしました。
物件の金額 | 頭金 | 毎月の返済額 | 総支払額 |
---|---|---|---|
3,000万円 | 10% | 69,196円 | 29,062,443円 |
20% | 61,508円 | 25,833,245円 | |
4,000万円 | 10% | 92,262円 | 38.749,997円 |
20% | 82,011円 | 34,444,403円 | |
5,000万円 | 10% | 115,328円 | 48,437,546円 |
20% | 102,513円 | 43,055,601円 | |
6,000万円 | 10% | 138,393円 | 58,125,117円 |
20% | 123,016円 | 51,666,726円 |
たとえば3,000万円の物件を購入する場合、10%分の頭金を用意することで、ローン借入額が2,700万円に抑えられます。20%分の頭金を用意する場合と比べ、利息負担が大きくなりますが、初期負担を抑えられることがメリットです。一方、頭金の20%分を支払った場合、借入額は2,400万円となり、利息負担が軽減され、長期的に見て経済的な選択となります。
適切な頭金の額は、各家庭の収入や支出、将来のライフプランによって異なります。上記のシミュレーションを目安に、具体的な計画を立てましょう。
マンション購入の頭金に関してよくある質問
ここからは、マンション購入の頭金に関してよくある質問を3つ紹介します。
マンションは頭金ゼロでも購入できる?
フルローンを利用すれば、頭金ゼロでもマンションの購入は可能です。しかし、住宅ローンの借入額が増えるため、支払い利息と総支払額が高くなってしまいます。総支払額が高いと、借入期間が長くなりますし、毎月の返済額も多くなるため、生活に支障が出るリスクがあります。
頭金ゼロの場合、住宅ローンの審査が厳しくなる可能性がある点にも、注意が必要です。頭金は信用度に関わるため、住宅ローンの審査に通っても、借入可能額が低くなるかもしれません。
借入可能額が低いと、購入できるマンションも限られてしまいます。また、マンションの購入申込時には手付金が必要な場合も多いため、完全に貯金ゼロで購入するのは難しいです。
マンション購入の頭金はいつ支払う?支払方法は?
頭金は、不動産売買契約の締結後からマンションの引き渡しまでに支払います。支払方法は、口座振込が一般的です。
マンションの購入を申し込んでから売買契約を締結するまでは、あっという間に進みます。新築の場合は早いと1週間ほど、遅くても1ヶ月かかることは滅多にありません。
購入を申し込む際にはスケジュールを確認するのはもちろん、マンション探しを始める時点で、いつでも頭金を支払えるようにしておくといいでしょう。
マンションは頭金が用意できてから購入した方がいい?
頭金を多めに用意することで、住宅ローンの総支払額を減らせます。しかし、頭金を貯めるために時間をかけすぎると、マンションの買い時を逃してしまうかもしれません。マイホームが必要だと感じたときに、購入を検討するのがおすすめです。
また、材木や鉄などの住宅建築に必要な資材は、年々高騰しています。今後の金利上昇リスクも考慮すると、マイホーム購入はあと伸ばしにせず、できるだけ早く踏み切った方がいいでしょう。
マンション購入の頭金をシミュレーションして返済負担を減らそう
マンション購入の頭金は、返済負担を軽減するだけでなく、金利や返済期間にも影響を与えます。実際に頭金をいくら用意するかは、住宅ローン控除や繰上げ返済も考慮し、資金計画を立てたうえで決めましょう。
頭金については、金融機関や不動産会社が提供する、資金計画のサポートを利用するのもおすすめです。専門家のアドバイスを受けることで、より現実的で安心な購入計画が立てられるでしょう。
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