マンションや住宅の間取り図を見ると、PSやUB、MBといった略語が使われていることがあります。これらの略字は、家の構造や設備を表す重要な情報です。特にPSは、暮らしの快適さやリフォームの自由度に影響を与えます。
本記事では、PSの基本的な役割や注意点に加え、間取り図でよく見かける他の略語についても詳しく解説します。最後まで読むことで「PS」と「UB」や「MB」の違いを理解し、物件選びや間取りのプランニングをよりスムーズに進めることができるでしょう。
間取りのPSとは?


間取り図で見かけるPSとは「パイプスペース(Pipe Space)」のことです。パイプスペースは、水道やガス、電気などの配管・配線を通すための空間を指し、音やにおいが漏れにくくなるよう工夫されています。パイプスペースはパイプシャフトと呼ばれることもあり、どちらも同じ意味です。
PSは生活に必要なインフラを効率よく収める役割を果たしており、通常はキッチンやバスルーム、トイレなどの水回りに隣接して配置されます。配管の長さをできる限り短くし、施工コストを抑えながらメンテナンスを容易にするためです。しかし、位置によっては家具配置や生活動線に影響することがあるため、物件選びの際には注意が必要です。
PSを適切に配置することは、住まいの利便性を向上させるカギとなります。基本的に、PSは移動したり再配置したりできないため、間取り設計やリフォーム時には慎重に検討しましょう。


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間取りのPSに関する注意点
間取りのPSに関する注意点
- 生活音が気になる可能性がある
- 自由に設置できない
- リフォームが難しい
上記は間取りのPSに関する注意点です。詳しく確認していきましょう。
生活音が気になる可能性がある
PSは水道やガス、排水の配管が通るため、水を流す音やシャワーなどの使用音が発生します。これらの生活音は、静かな時間帯、特に夜間に気になるでしょう。
例えば、PSが寝室の近くに設置されている場合、誰かがトイレを使ったときに排水音が響き、音に敏感な人は目が覚めてしまうかもしれません。
音の大きさは、建物の構造や防音対策によって異なるので、壁の厚さや防音性を確認しましょう。また、防音対策としてPSの周囲に吸音材を使用したり、家具を配置して遮音効果を高める工夫も有効です。
自由に設置できない
PSは建物のインフラとして、固定された位置に設置されており、住人の都合で移動や再配置はできません。このため、家具配置や間取りデザインを考える際、PSの存在を考慮する必要があります。
特に狭い部屋では、PSがスペースを圧迫し、インテリアの自由度が制限されてしまいます。そのため、物件の購入前には間取り図をしっかり確認し、PSの位置を把握したうえでプランニングしましょう。
また、PSの影響を最小限にするため、壁面収納や造作家具の設置を検討するのもおすすめです。壁面収納や造作家具を活用すれば、限られたスペースを有効利用できます。
リフォームが難しい
PSは建物全体の配管が通っているため、移動や撤去が容易ではありません。水回りの配置や間取りを変更したいと思ったとき、PSの位置を避けて設計する必要があり、リフォーム時の制約となるでしょう。
例えば、キッチンを別の場所に移動したくても、希望通りのレイアウトにできないかもしれません。また、PSの位置によっては配管の延長が必要となり、費用が増える可能性もあります。リフォームを計画する際には、PSの位置や構造を考慮して実現性が高いプランを立てられるよう、専門家に相談しましょう。
理想の間取りを実現するPSの広さ
PSの理想的な広さは、保守点検時には大人1人が中に入れる程度が望ましいとされています。スペースが狭すぎると、配管の設置が難しくなり、必要な作業ができない可能性があるからです。
また、PSに適切な広さを確保することは、建物全体の耐久性や安全性にも関わります。適切なスペースがあれば、点検や修理時にも配管を適切にメンテナンスできるので、トラブル防止にも繋がります。
屋外にPSを設置するメリット・デメリット
PSは屋外に設置することも可能です。ただし、PSの屋外設置にはメリットもデメリットもあります。
屋外にPSを設置するメリット
屋外にPSを設置する場合、生活音が室内へ響きにくく、静かな居住空間を保てます。配管から発生する音が屋内にこもらないため、夜間にシャワーやトイレを使っても、生活音が気にならないでしょう。
配管トラブルが発生しても、修理作業を屋外で行えるため、室内への影響を最小限に抑えられることもメリットです。さらに、配管作業中に発生する汚れや臭いを、室内に持ち込む心配がありません。
集合住宅は特に、屋外へPSを設置するメリットが大きいです。上下階でのトラブルが発生した場合でも、迅速に修理対応ができるため、居住者全体のストレス軽減にもつながります。
屋外にPSを設置するデメリット
寒冷地では、配管が凍結したり破損したりといったトラブルが発生するリスクが高まります。屋内よりも温度変化にさらされやすいため、屋外にPSを設置する場合は防寒対策が必要です。例えば、断熱材を使用したり、ヒーターを設置するなどの工夫が求められます。
屋外に設置された配管は劣化しやすく、定期的な点検やメンテナンスが必要になることも、デメリットのひとつです。例えば、紫外線や雨風の影響で金属部分が錆びたり、樹脂製の配管が劣化してひび割れたりすることがあります。その結果、水漏れや配管の破損につながる恐れがあるため、適切な点検の頻度が高くなるでしょう。
間取り図で使われるPS以外の略語
間取り図には、PS以外にも多くの略語が使用されています。これらの略語を理解することで、間取り図への理解が深まり、自分に合った住まいを選ぶことが可能になるでしょう。以下の表に、間取り図で使われるPS以外の略語をまとめました。
略語 | 意味 |
---|---|
K | キッチン |
DK | ダイニングキッチン |
LDK | リビングダイニングキッチン |
BR | ベッドルーム |
S | サービスルーム |
DEN | 書斎や趣味のための小部屋 |
RF | 屋上バルコニー |
MB | メーターボックス |
DS | ダストシュート |
UB | ユニットバス |
WT(T) | トイレ |
AC | エアコン |
R | 冷蔵庫設置スペース |
W | 窓 |
CL | クローゼット |
WCL(WIC) | ウォークインクローゼット |
SB | シューズボックス |
SCL(SIL) | シューズインクローゼット |
Sto | 物置スペース |
部屋系


部屋系
- K
- DK
- LDK
- BR
- S
- DEN
- RF
K
Kとはキッチンのことです。料理をつくるためのスペースで、単独で配置される場合もあれば、DKやLDKと一体化していることもあります。
しかし、Kとだけ記載されている場合は、独立したキッチンであるケースがほとんどです。キッチンの位置やサイズは、家事の効率や使い勝手に大きく影響します。
DK
DKはダイニングキッチンを指します。調理スペースと食事スペースが一体化しており、特に小型住宅やアパートで採用されることが多いです。
コンパクトなので家事動線が短く、食事の用意や片付けがスムーズに行えます。一方で、広さが限られるため、家具の配置には工夫が必要です。
LDK
LDKはリビングとダイニング、キッチンが一体となった広い空間です。ダイニングでは食事を楽しみ、リビングではリラックスでき、家族のコミュニケーションを深める場所となります。
アイランドキッチンや対面型キッチンなら、料理しながら会話したり家族の様子を見守ったりできます。広さによっては、リビングとダイニングを区切ることで多用途な使い方が可能です。
BR
ベッドルームの略で、寝室を指します。静かでプライベートな空間として、居住スペースと分けられることが一般的です。
適切な照明や寝具の配置により、快適な睡眠環境を整えることが、空間づくりのポイントです。窓の位置や遮光カーテンの使用なども重要な要素となります。
S
サービスルームや納戸を意味します。採光や通風の面で、建築基準法を満たしていないため、法律上は居室として扱われないスペースです。
しかし、面積に制限はなく、広いスペースを確保されていることもあります。収納や作業場のほか、書斎、趣味の部屋など、工夫次第で、さまざまな用途に使えます。近年では、リモートワークスペースとして活用する例も増えています。
DEN
DENは、英語で「ほら穴」を意味します。面積に明確な基準はなく、比較的コンパクトなケースが多いです。書斎や作業スペースとして設計され、集中できる環境を整えるのに適しています。仕事ではなく、趣味を楽しむ場として使われるケースも多いです。
RF
屋上バルコニーを指し、屋外の開放的な空間として、趣味を楽しんだりリフレッシュしたりできる場所です。採光や通風しが良いことが多く、家庭菜園やアウトドアリビングを楽しむのにピッタリです。
屋上バルコニーを設置することで、土地と建物を有効活用できます。特に、住宅が密集して日当たりが悪い土地では、屋上バルコニーが大いに役立つでしょう。
設置系


設置系
- MB
- DS
- UB
- WT(T)
- AC
- R
- W
MB
MBはメーターボックスを指し、電気や水道のメーターが設置されています。点検やメンテナンスがしやすい場所に配置することで、トラブル時の対応がスムーズに行えるでしょう。
DS
DSはダストシュートのことで、特にマンションで採用されることが多い設備です。ゴミを下階に集めて排出できるため、住民の負担を軽減します。衛生管理のしやすさから、高層住宅で重宝されています。
UB
UBは間取図等の略称でユニットバスのこと。これは、限られたスペースを効率よく活用するため、単身者向けやコンパクトな間取りの物件でよく採用されています。
浴槽等と洗面台・トイレがセットになった「3点ユニットバス」や浴槽等と洗面台がセットになったタイプがあります。トイレや洗面所が独立している間取りでもUBと表記されることがあります。この場合は、浴室自体が工場で一体化して作られたユニットバス方式であることを示しています。マンションの間取り図にUBと書かれていても、どのタイプ化は判別できないので実際の配置など詳細については物件情報や販売担当へ確認することをおすすめします。
WT(T)
トイレを指し、間取り図では「T」と簡略化されることがあります。近年は節水型やウォシュレット付きのトイレが一般的で、快適性や機能性が向上しています。手洗いカウンターの有無や収納スペースの配置も、物件選びの際に注目したいポイントです。
AC
エアコンを設置するためのスペースを指します。エアコンの取り付けに必要な配線や補強が整備されているため、ACがあれば設置工事にかかる費用を抑えられるでしょう。ただし、ACの位置によって空調効率が変わるため、家具の配置に影響があるかもしれません。
R
冷蔵庫の設置スペースを指します。Rは、キッチンや隣接したスペースに配置されるのが一般的です。
新居に手持ちの冷蔵庫を設置する場合、Rの広さを確認しておきましょう。また、Rの位置によっては扉を開閉できる向きに制限が生じるので、事前の確認が必須です。
W
Wとは窓のことで、室内の採光や通風を確保する重要な要素です。位置やサイズによって、部屋の明るさや風通しに大きな影響を与えます。また、窓が多いと家具を配置しづらくなることもあるので、事前に位置などを確認し、シミュレーションするのがおすすめです。
収納系


設置系
- CL
- WCL(WIC)
- SB
- SCL(SIL)
- Sto
CL
CLはクローゼットを指し、衣類や生活雑貨などを収納するためのスペースです。洋室に設置されているケースが多く、洋服をかけるためのハンガーパイプが取り付けられています。和室に設置されている収納スペースは「押入れ」と記載され、クローゼットよりも奥行きがあります。
WCL(WIC)
ウォークインクローゼットのことで、人が中に入れるほど広い収納スペースです。大容量の収納が可能なため、衣類や荷物をすっきり整理できます。
子どもがいる家庭や、ファッションアイテムを多く持つ人にとって、理想的な収納といえるでしょう。WCLではなく「WIC」と記載されることもありますが、どちらも同じ意味です。
SB
シューズボックスの略語で、靴専用の収納スペースです。外出時や帰宅時に使いやすいよう、多くの場合は玄関の近くに設置されます。天井まで高さがあるSBを設置すれば、玄関の限られたスペースを活用し、玄関をすっきりさせられます。
SCL(SIL)
SCLはシューズインクローゼットのことで、靴を収納できる広めのスペースです。「土間収納」と呼ばれることもあります。玄関周りをすっきりさせるだけでなく、アウトドア用品など大型の荷物も収納可能で、多目的に活用できます。
Sto
Stoはストレージの略で、物置スペースや収納庫を指します。主に、家具や季節物の収納に使われる収納です。サービスルームと同様に、採光や通風が建築基準法を満たしていません。Stoとサービスルームには明確な違いがなく、さまざまな用途に使えます。
PS含む間取りの略語を理解して理想の家を建てよう
間取り図を見るときや住宅の設計時には、さまざまな略語を目にします。住宅における略語の意味を理解し、設備などの細部に目を向けることで、より満足度が高い住まいが手に入るでしょう。



マンションの間取りについてご説明させていただきましたが
内覧についての記事も公開しておりますので、ぜひ読んでみてください!


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