固定金利に比べ、変動金利は金利が低めです。そのため、月々の返済額を抑えられる可能性があり、変動金利を魅力に感じる方も多いでしょう。しかし、金利が変動することによるリスクやライフプランの立てづらさは無視できません。
本記事では、変動金利の基本やメリット・デメリット、返済シミュレーションを解説します。最後まで読めば、変動金利についての理解が深まり、自分に向いているか判断するのに役立つでしょう。


住宅ローンの変動金利とは?わかりやすく解説


変動金利とは、住宅ローンの借入期間中に、金利が変わる可能性があるタイプです。一般的に、6ヶ月に1回のペースで金利の見直しが行われ、その時点の市場金利に応じて金利が上下する仕組みとなっています。
たとえば、景気が悪くなって市場金利が下がれば、住宅ローンの金利も下がる可能性があり、その分返済額も減ることがあります。逆に、景気が上向き金利が上昇すれば、住宅ローンの返済額が増えるかもしれません。
このように、変動金利はメリットとリスクの両方を持ち合わせており、選ぶ際にはその仕組みをしっかり理解しておくことが大切です。以下では、変動金利の仕組みをわかりやすく説明します。
変動金利の仕組み
住宅ローンの変動金利は、主に『短期プライムレート』という指標をもとに決められます。短期プライムレートとは、銀行が信用力の高い優良企業に対して適用する、最も優遇された短期貸出金利のことです。
短期プライムレートは、日銀の政策金利や経済状況を基準としており、各銀行が独自に設定しています。そのため、景気が変動すれば短期プライムレートも連動して変わり、結果として住宅ローンの金利にも影響を与えるのです。短期プライムレートの推移は金融機関のホームページなどでも確認できるので、定期的にチェックしておくといいでしょう。
変動金利の返済方式
住宅ローンには『元利均等返済方式』と『元金均等返済方式』という2つの返済方法があります。
元利均等返済方式 | 元金均等返済方式 | |
---|---|---|
特徴 |
|
|
どちらの方式を選ぶかによって、同じ変動金利でも返済額や利息負担に差が出ます。そのため、自分のライフプランや収支バランスを考慮して返済方式を選ぶことが重要です。
変動金利のルール
変動金利には『5年ルール』と『125%ルール』という2つのルールがあります。5年ルールと125%ルールは、金利が上昇した際に返済額が急激に増えることを防ぐための仕組みです。
5年ルール |
|
---|---|
125%ルール | 金利が大幅に上がっても、返済額の増加は直前の返済額の1.25倍までに制限される |
このように、金融機関では急激な返済額の増加を防ぐ工夫がされています。しかし、だからといって金利上昇の影響を完全に避けられるわけではありません。
もしも利息が増え、住宅ローンの満期までに元金や未払利息が残っていた場合には、一括返済することになります。返済額が大きく変わるリスクは軽減できても、元金や利息を返済しなくて良くなるわけではないことを、覚えておきましょう。


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変動金利と固定金利の違い


変動金利は景気や金融情勢によって、借入期間中に金利が変動する可能性があります、固定金利は、一定期間または借入期間全体にわたって、金利が固定されるタイプです。固定金利には、全期間固定金利型と固定金利期間選択型の2種類があります。
全期間固定金利型は、借入期間中ずっと金利が変わらないタイプです。借入時に総返済額が確定しているので、長期のライフプランが立てやすくなります。固定金利期間選択型は、借入時に決めた期間は金利が固定され、その後は再度固定金利か変動金利かを選択できます。
将来的な金利の変動に不安がある方や、収支を安定させたい方は固定金利を選ぶケースが多いです。一方、金利が低い今のタイミングで、変動金利を選ぶという選択肢もあります。


変動金利のメリット


変動金利のメリット
- 固定金利と比べて金利が低めに設定されている
- 月々の返済額を抑えられる可能性がある
- 市場金利が下がれば、返済額が減ることもある
- 金利上昇時にも、返済額の急激な増加を防ぐルールがある
変動金利には、上記のような4つのメリットがあります。具体的なメリットを詳しく見ていきましょう。
固定金利と比較して金利が低い傾向にある
変動金利の大きな魅力は、借入時の金利が固定金利よりも低く設定されていることです。変動金利は1990年10月に8.5%まで上昇しました。しかし、以降は変動金利は長らく2%前後を推移しています。固定金利は3%、全期間固定型は3%後半程度なので、現在は変動金の方が低水準です。
たとえば、同じ3,000万円を35年ローンで借りた場合、金利が2%と3%では返済総額に数百万円の差が出ることもあります。この差は家計にとって非常に大きく、少しでも月々の負担を減らしたい方には大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、将来的に金利が上昇する可能性もゼロではないため、現在の金利の低さだけに注目するのではなく、今後の資金計画やリスクへの備えも考慮して選択することが重要です。
急激な金利上昇を緩和する措置がある
変動金利には、5年ルールや125%ルールといった、急激な金利上昇による返済額の増加を抑えるための措置が整備されています。これらのルールにより、たとえ金利が急激に上がっても、一定期間内で返済額が急に増えすぎることは防げます。
また、住宅金融普及協会の金利推移を見ると、変動金利は10年以上も安定しており、低水準で推移してきました。このように、過去の実績からも、急激な金利変動の可能性はそう高くないという見方もできます。
もちろん、将来の金利動向は誰にも予測できません。しかし、5年ルールや125%ルールがあることで、ある程度のリスクを抑えながら住宅ローンを利用できます。
変動金利のデメリット


変動金利のデメリット
- 金利が上昇すると、返済額が増えるリスクがある
- 将来の返済総額が確定せず、計画が立てにくい
- 返済期間中に利息負担が増える可能性がある
変動金利には魅力的なメリットがある一方で、上記のようなデメリットも存在します。
金利が変動するリスクがある
変動金利の最大のデメリットは、やはり金利が変動するリスクがあることです。半年ごとに金利が見直されるため、今は低金利でも将来的に上昇する可能性があります。金利が上昇すれば、当然毎月の返済額も増加し、最終的な総返済額が大きく膨らんでしまうかもしれません。
例えば、借入当初は月々の返済が余裕だったとしても、金利上昇によって家計の負担が増し、生活に支障が出るリスクも考えられます。特に、長期にわたる住宅ローンでは、金利の変動がもたらす影響は決して小さくありません。
また、金利が上昇して返済の大半が利息になってしまい、なかなか元金が減らないという事態になる可能性もあります。「固定金利にしておけばよかった」と後悔することのないよう、変動金利の仕組みとリスクをしっかり理解して選択することが重要です。
将来のライフプランを決めにくい
変動金利のもう1つの大きなデメリットは、将来の返済額が確定しないために、長期的なライフプランを立てにくい点です。例えば、子どもの教育費がかかるタイミング、車の買い替え、老後資金の準備など、人生にはまとまった支出が必要となる時期が何度か訪れます。
固定金利であれば、毎月の返済額が一定なので、収支の見通しが立てやすく、将来設計がしやすくなります。しかし、変動金利では金利が上昇すれば、その都度返済額が変わる可能性があり、家計の計画に狂いが生じるかもしれません。
特に、収入の変化が予想される家庭や、将来的に転職や独立を検討している人にとっては、不確定な返済額が大きな不安材料になるでしょう。安定した生活を望むなら、金利タイプは慎重に検討する必要があります。
変動金利が向いている人・向いていない人


変動金利には、低金利というメリットがある一方で、金利変動というリスクもあります。そのため、すべての人にとって最適とは限りません。ご自身の収入状況や将来のライフプランに応じて、向き・不向きを見極めることが大切です。
ここでは、変動金利が向いている人とそうでない人の特徴を紹介します。
変動金利が向いている人
変動金利が向いている人
- 金利の動向を定期的にチェックできる人
- 急な金利上昇にも対応できる経済的余裕がある人
- 借入金額が少なく返済期間が短い人
- 数年以内に繰上返済や借り換えを予定している人
変動金利は、金利上昇のリスクを受け入れられるかが選択のポイントです。
たとえば、共働きで世帯収入に余裕がある家庭や、早期完済を目指している人は、金利が低いうちに返済を進めることで、総返済額を抑えられます。また、金融知識があり、金利の動向をある程度予測しながら柔軟に対応できる人にも、変動金利は向いています。
変動金利が向いていない人
変動金利が向いていない人
- 借入額が多く返済期間が長い人
- 返済計画をしっかり立てたい人
- 将来の支出に備えて安定した家計管理をしたい人
- 金利の動向に一喜一憂したくない人
借入額が多く返済期間が長い人は、変動金利よりも固定金利の方が安心です。特に、住宅ローンが家計に占める割合が大きい家庭や、収入が今後大きく増える見込みがない人にとっては、金利の変動による返済額の増加が大きなストレスになる可能性があります。
また、将来の教育費や介護費用などが見込まれている場合、月々の支出を一定に保ちたいというニーズもあるでしょう。このような方にとっては、金利が変わらず返済額が安定している固定金利の方が向いています。
変動金利の返済シミュレーション
変動金利の魅力は、金利が低めに設定されているため、借入当初の返済額が少なく済む点にあります。ただし、金利の変動によって将来的な返済額が増える可能性があるため、固定金利と比較してシミュレーションしてみることが大切です。
今回は、以下のような条件で変動金利と固定金利を比較してみましょう。
条件
- 物件価格:3,500万円
- 借入期間:35年
- ボーナス返済なし
- 元利均等返済方式
変動金利(0.4%) | 固定金利(0.5%) | |
---|---|---|
毎月の返済額 | 89,316円 | 90,854円 |
総返済額 | 37,512,720円 | 38,158,680円 |
変動金利と固定金利の総返済額の差は、1ヶ月で見ると約1,500円と少額です。しかし、総返済額で見ると変動金利が約65万円も安くなります。
借入額が多くなるほど差は大きくなるため、低金利が続けば、変動金利が大きく優れています。一方で、金利が上昇する可能性も否定できず、変動金利よりも固定金利の方が安くなる日が来るかもしれません。将来の金利上昇を織り込み、複数パターンで返済額をシミュレーションしておきましょう。
変動金利は今後どうなる?一気に上がる可能性はある?


日本では、長期的なデフレ傾向や日銀の金融緩和政策により、急激な金利上昇が抑えられてきました。住宅金融普及協会の『過去の住宅ローン金利の推移』を見ると、変動金利は概ね2%台以下で安定して推移しています。
ただし、インフレ傾向が強まったり、日銀の金融政策が転換されたりしたら、金利が上昇に転じる可能性も否定できません。経済や世界情勢の変化によって、変動金利が一気に上昇するリスクもゼロではないのです。
金利がどのように変動するかは誰にもわからないため「今は金利が低いから安心」と楽観視せず、金利上昇に備えた準備をしておくことが大切です。変動金利の仕組みで前述しましたが、短期プライムレートが変動金利のレートに影響を与えます。
参照:長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降|日本銀行


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変動金利の上昇に備える方法
変動金利の上昇に備える方法
- 繰上返済を活用する
- タイミングを見て借り換えを検討する
- ミックスローンでリスクを分散する
将来の金利上昇に備えるためには、上記のような対策を講じることが重要です。
繰上返済する
繰上返済とは、住宅ローンの毎月の返済とは別に、まとまった金額を前倒しで返済することです。繰上返済には『期間短縮型』と『返済額軽減型』の2種類があります。期間短縮型を選ぶことで元金の減りが早くなり、支払う利息も減らすことが可能です。
変動金利では、元金が減れば減るほど将来的な金利上昇による利息の負担も軽減されます。たとえば、ボーナス時にまとまった金額を繰上返済に充てるだけでも、数十万円単位で総返済額を圧縮できることがあります。
現在の低金利を活かし、繰上返済を積極的に行うことで、金利上昇時のリスクを大幅に下げられるでしょう。
借り換えを行う
借り換えとは、今の住宅ローンを一括で返済し、別の金融機関や住宅ローンに切り替えることです。金利が上昇する前に、低めの固定金利商品に借り換えることで、返済額を安定させられます。
ただし、現在契約している金融機関で金利タイプを変更できる場合と、他行への借り換えが必要になる場合があります。他行へ借り換える際には、事務手数料や登記費用などの諸経費が発生するため、トータルでのコストを確認することが重要です。
ミックスローンを選ぶ
ミックスローンとは、変動金利と固定金利を組み合わせて借入を行う方法です。たとえば、借入金額の半分を固定金利、もう半分を変動金利にするなど、自分に合ったバランスでリスクを分散できます。
ミックスローンの大きなメリットは、金利上昇の影響をすべて受けることがなく、ある程度の安定性を確保しながら、変動金利の低さも活かせる点です。また、途中で片方の金利のみ借り換えることもできます。
金利の先行きが不透明な状況において、ミックスローンは「どちらも少しずつ取り入れたい」という人にとって、非常に現実的な選択肢といえるでしょう。
変動金利の特徴を押さえて自分に合った住宅ローンを選ぼう
変動金利は金利が低く設定されているため、毎月の返済額を抑えやすいというメリットがあります。その一方で、将来的な金利上昇というリスクがあり、返済計画に影響を与える可能性も否定できません。
固定金利と比較してどちらが良いかは、家計の状況やライフプランによって異なります。大切なのは、金利の仕組みやリスクをしっかり理解し、自分に合った返済方法を選ぶことです。
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