家の購入やリフォームは、多くの家庭にとって人生で最も大きな買い物のひとつです。特に子育て中の家庭や若いご夫婦は、理想の住まいを手に入れる楽しみの一方で、費用面の不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
このような人を支援するために、国が実施しているのが『子育てグリーン住宅支援事業』です。子育てグリーン住宅支援事業を利用する条件を満たすことで、住宅の新築やリフォームに対して補助金を受け取れます。本記事では、制度の概要から利用要件、注意点などを詳しく解説します。
子育てグリーン住宅支援事業とは?

子育てグリーン住宅支援事業とは、省エネ性能が高い新築住宅の購入や住宅の省エネ化リフォームなどに対して、国が補助金を支給する制度です。主に子育て世帯や若者夫婦向けの制度で、省エネ性能が高い住宅の場合は全世帯が対象になります。補助金の支給額は、新築住宅が最大160万円、リフォームは最大60万円です。
子育てグリーン住宅支援事業は、子育て世帯の経済的な負担を軽減しながら、省エネルギー性能が高い住宅の普及を促すことを目的としています。家計と地球環境の双方に優しく、住宅の購入やリフォームを検討している方にとっては、見逃せない支援策です。
子育てグリーン住宅支援事業の条件・補助金はいくら?
子育てグリーン住宅支援事業は、補助金の上限額や条件が、住宅の性能やリフォーム内容によって異なります。制度の適用条件や補助金がいくらか、詳しく説明します。
新築の条件・補助金

新築住宅に対する補助金は、住宅の省エネ性能に応じて段階的に設定されています。主に以下の3つの住宅区分があり、それぞれに補助金の上限額や要件が異なります。
住宅の区分 | 主な要件 | 補助金(上限) | 対象世帯 |
---|---|---|---|
GX志向型住宅 | ZEH基準を大きく上回る省エネ性能を持つ脱炭素志向型の住宅 | 160万円 | 全世帯 |
長期優良住宅 | 所管行政庁から認定を受けた長期優良住宅 | 80万円 | 子育て世帯・若者夫婦世帯 |
ZEH水準住宅 | 外皮性能が一定基準を満たし、再エネを除いて一次エネルギー消費量を20%以上削減した住宅 | 40万円 | 子育て世帯・若者夫婦世帯 |
いずれの住宅区分でも、補助金の対象となるのは床面積が50㎡以上かつ240㎡以下の住宅になります。新築のGX志向型住宅は、全世帯が対象です。しかし、長期優良住宅とZEH水準住宅は、対象が子育て世帯・若者夫婦世帯に限定されます。
なお、長期優良住宅とZEH水準住宅を新築する際、古家の解体工事による除去が伴う場合は、上記の補助額に20万円加算されます。
GX志向型住宅とは?
GX志向型住宅とは、政府が掲げる『グリーントランスフォーメーション(GX)』の方針に基づき、より高い省エネルギー性能や環境負荷の低減を実現する住宅を指します。GX志向型住宅として認められるための要件は、以下の4つです。
GX志向型住宅として認められるための要件
- 断熱等性能等級6以上
- 再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率35%以上
- 再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量削減率100%以上(地域により異なる)
- 高度エネルギーマネジメントの導入
このような性能から、長期的に快適で省エネ性が高い暮らしを実現する先進的な住まいとして評価されており、補助金額も最大100万円と最も高く設定されています。
長期優良住宅とは?
長期優良住宅とは、長く快適に住み続けられるよう耐震性・省エネ性などに優れた住宅で、国の基準を満たすことで認定されます。認定を受けると住宅ローン控除や固定資産税の軽減などのメリットがあります。
長期優良住宅として認められるための主な要件
- 劣化対策(数世代にわたり住宅性能を維持)
- 耐震性(一定の地震力に耐える構造)
- 省エネルギー性能(断熱・省エネ基準に適合)
- 維持管理・更新の容易性(点検や修繕がしやすい)
- 可変性(ライフスタイルの変化に対応可能)
- 居住環境(地域との調和を図る)
- 一定の住戸面積(原則75㎡以上、戸建は原則55㎡以上)
- 維持保全計画(定期点検と記録の計画)

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分譲住宅・賃貸住宅の新築に関する特則とは?
子育てグリーン住宅支援事業では、新築する分譲住宅と賃貸住宅に関して、特別な取り扱い(特則)が設けられています。特則によって、一定条件を満たした事業者が販売・賃貸する住宅についても、補助金を受け取れるようになります。
分譲住宅の場合は、事業者が事前登録しておけば、購入者が決まっていない段階でも、補助金の交付申請が可能です。
また、賃貸住宅についても、新築時の3ヶ月間は入居募集の対象を子育て世帯等に限定する、子育て世帯等向けに優遇家賃を設定するなどすれば、補助金を受け取れます。
リフォームの条件・補助金


子育てグリーン住宅支援事業では、既存住宅のリフォームにも補助が適用されます。補助金額はリフォームの内容に応じて異なり、対象となる工事の種類とその組み合わせによって、上限額が決まります。補助対象となる主なリフォーム内容は以下のとおりです。
工事内容 | 補助額(目安) |
---|---|
開口部の断熱改修(窓や玄関ドア) | 最大49,000円/箇所 |
外壁・屋根・天井・床の断熱改修 | 外壁・間仕切壁:最大169,000円/戸屋 根・天井:最大60,000円/戸 床:最大105,000円/戸 |
エコ住宅設備の設置 | 太陽熱利用システム:30,000円/戸 高断熱浴槽:32,000円/戸 高効率給湯器:30,000円/戸 蓄電池:64,000円/戸 節水型トイレ:最大23,000円/台 節湯水栓:6,000円/台 |
バリアフリー改修 | 手すりの設置:6,000円/戸 段差の解消:7,000円/戸 廊下幅などの拡張:28,000円/戸 衝撃緩和畳の設置:21,000円/戸 |
子育て対応改修 | 家事負担軽減に資する住宅設備の設置:最大25,000円/戸 防犯性の向上に資する開口部の改修:最大53,000円/箇所 生活騒音への配慮に資する開口部の改修:最大36,000円/箇所 キッチンセットの交換を伴う対面化改修:91,000円/戸 |
防災性向上改修 | ガラスの交換:最大18,000円/枚 外窓の交換:最大41,000円/箇所 |
気清浄機能・換気機能付き エアコンの設置 | 最大27,000円/台 |
リフォーム瑕疵保険等への加入 | 7,000円/契約 |
補助を受けるには、2種類以上の必須工事を含むことが条件です。そのうえで、バリアフリーや子育て対応改修などを追加することで、補助金が加算されていきます。
全種類の必須工事を実施した場合、補助金の上限額は60万円です。2種類の必須工事を実施した場合には、上限額が40万円になります。
補助金の対象となるには、リフォーム工事をグリーン住宅支援事業者に依頼し、遅くても2025年12月31日までに着工している必要があります。なお、補助額の合計が5万円以上にならないと補助対象にならないので、注意が必要です。
「子育てグリーン住宅支援事業」と2024年「子育てエコホーム支援事業」の違い


子育てグリーン住宅支援事業と、2024年にスタートした子育てエコホーム支援事業は、どちらも子育て世帯や若者夫婦世帯を支援する国の補助金制度です。しかし、制度の詳細や補助対象、金額には違いがあります。以下の表に主な違いをまとめました。
子育てグリーン住宅支援事業 | 子育てエコホーム支援事業 | |
---|---|---|
補助金上限(新築) | 最大160万円(GX志向型) | 最大100万円(認定住宅) |
補助金上限(リフォーム) | 最大40万〜60万円 | 最大20万〜60万円 |
必須リフォーム工事数 | 2種類以上 | 1種類以上 |
子育てグリーン住宅支援事業では、必須リフォーム工事数が増えたものの、新築・リフォームともに補助金額の上限が増えました。また、新築の補助金上限が60万円増え、子育て世帯または若者夫婦世帯ではない全世帯が対象になったことも、大きな変化です。エコ住宅を新築したい人、省エネリフォームしたい人は、子育てグリーン住宅支援事業の利用を前向きに検討するといいでしょう。
子育てグリーン住宅支援事業はいつからいつまで?
子育てグリーン住宅支援事業の申請受付期間は、2025年3月31日から12月31日までです。ただし、工事着手前に予約申請を行う場合、締切は2025年11月14日までと定められています。
予約申請は任意です。しかし、予約申請すると、交付申請する予定の額を一定期間は確保してくれます。補助金申請額が予算の上限に達すると、受け付けが終了してしまうので、状況に応じて予約申請しておくと安心です。
なお、申請受付や予約申請は、建築主ではなくグリーン住宅支援事業者が行う必要があるので、連携を取りながら手続きを進めましょう。
子育てグリーン住宅支援事業の申請方法
子育てグリーン住宅支援事業の申請は、登録されたグリーン住宅支援事業者が行います。ただし、交付申請をするタイミングは、住宅の種類や新築・リフォームによって異なります。また、申請に際して必要な書類も住宅の種類によって異なるので、グリーン住宅支援事業者に確認しておきましょう。
種類 | 申請方法 | 申請時期 |
---|---|---|
注文住宅(新築) | グリーン住宅支援事業者が申請 | 建築着工後(根切り工事または基礎杭打ち工事の着手) |
分譲住宅(新築) | 売買契約と共同事業実施規約の締結後 | |
賃貸住宅(新築) | 基礎工事の完了後 | |
リフォーム | 工事の完了・引渡し後 |
子育てグリーン住宅支援事業の注意点
子育てグリーン住宅支援事業を利用する際には、以下のような注意点があります。あらかじめ確認しておきましょう。
子育てグリーン住宅支援事業の注意点
- グリーン住宅支援事業者を通して申請する必要がある
- 予算金額が上限に達したら終了する可能性がある
- 他の全ての補助金と併用できるとは限らない
- 補助金は工事終了後に受け取れる
グリーン住宅支援事業者を通して申請する必要がある
補助金の申請は、個人では行えません。グリーン住宅支援事業者を通じて手続きする必要があります。また、国に登録されたグリーン住宅支援事業者のみが対象となっているので、契約を結ぶ前に必ず確認しておきましょう。
契約や着工の時点で子育てグリーン住宅支援事業者の登録がない場合、補助金の対象外になる可能性があります。申請書類の作成や提出は事業者が行うため、信頼できる業者を選ぶことが非常に重要です。
予算金額が上限に達したら終了する可能性がある
子育てグリーン住宅支援事業は、国の予算内で実施されているため、予算の上限が設定されています。たとえ申請期間中であっても、予算の上限に達した時点で受付が終了するしてしまうため、タイミングを逃さないように注意が必要です。
特に、人気が高い条件の住宅や補助額の大きい工事では、早めに予算が消化される可能性があるため、早めの行動が成功のカギとなります。 子育てグリーン住宅支援事業を利用するか迷っている場合は、ひとまずグリーン住宅支援事業者に相談してみるといいでしょう。


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他の全ての補助金と併用できるとは限らない
子育てグリーン住宅支援事業と、他の補助金の併用を考えている人も多いかもしれません。しかし、すべての補助金と併用できるとは限らないので、事前に確認しておきましょう。
例えば、基本的には国による住宅関連の補助制度とは併用できません。一方で、国による制度でも住宅ローン減税制度は併用できます。また、自治体による独自の補助金制度であれば、子育てグリーン住宅支援事業と併用できる可能性があります。そのため、補助金や減税制度などに詳しいかも、グリーン住宅支援事業者を選ぶ際には重要です。
補助金は工事終了後に受け取れる
補助金は、着工前や施工中に受け取ることはできず、すべての工事完了後にグリーン住宅支援事業者へ交付されます。補助金はグリーン住宅支援事業者への代金支払いに充当し、清算するのが一般的な流れです。
そのため、一旦は工事代金を支払う必要があります。新築やリフォームにかかる費用が大きければ、そのぶん支払額も高くなるので、資金計画に余裕を持っておきましょう。
子育てグリーン住宅支援事業を活用して費用負担を抑えよう
子育てグリーン住宅支援事業は、新築・リフォーム問わず、一定の条件を満たすことで補助金が受け取れる制度です。エネルギー効率が高い住まいづくりを推進しながら、家計の負担も軽減できるため、非常に魅力的な支援制度といえます。
補助金の内容や条件は年ごとに変わるため、常に最新情報を確認することが重要です。また、申請手続きにはグリーン住宅支援事業者の協力が必要となるため、信頼できる業者を選ぶことも大切です。
私たちフジケンは、愛知県の西三河エリアで多数の住宅販売実績があり、子育てグリーン住宅支援事業に対応しています。費用面や手続きの流れに不安がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。